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自動車ライターの鈴木ケンイチさんに聞く、自動車メディアへの関わり方

2016年12月19日

自動車ライターの鈴木ケンイチさんに聞く、自動車メディアへの関わり方

自動車ライターの鈴木ケンイチさんに聞く、自動車メディアへの関わり方

自動車雑誌を開くと登場する、モータージャーナリストや自動車評論家、自動車コラムニストたち。

クルマ好きから見ると、「好きな自動車のことを話題にしてお金がもらえていいな」とも思うけど、実際はどんなふうに仕事をしているのだろう?

自動車メディア業界の仕事について、自動車ライターの鈴木ケンイチさんに聞いた。

自動車メディアにはどんな職業がある?

――まずは鈴木さんの仕事内容を教えてください。

僕の仕事は基本的に、取材をして原稿を書くことです。自動車メーカーの新車発表会に行ったり、自動車の技術やサービスに関する企業に話を聞きに行ったりして、メモを取って写真を撮影し、それらの資料を元に記事を執筆します。

――自動車メディアの制作には、どんな職種があるのでしょうか?

まず、自動車雑誌を作る出版社の編集者たちがいます。どの号にどんな記事を載せるかを決める人たちです。それから、編集者が記事を発注する外部のライターたちがいます。僕はここの立場ですね。基本的に、編集者は出版社の会社員、ライターはフリーランスです。

外部の執筆陣には、さまざまな肩書の人がいます。自動車ライター、モータージャーナリスト、自動車評論家、自動車コラムニスト、カーライフエッセイスト、自動車コミュニケーター、自動車コンサルタントなどなど……。

また、執筆ではなく、自動車の撮影を担当する自動車カメラマンもいます。こちらも基本的にはフリーランスですね。

現在はウェブ媒体の仕事も多くなってきていて、自動車雑誌のウェブ版や、自動車メーカーが運営するオウンドメディアなどもあります。そこにも、紙の雑誌と同じように編集者がいて、フリーの自動車ライターや自動車カメラマンと一緒に記事を作っています。

フランクフルトモーターショーを取材するため、ドイツに滞在した鈴木さん
フランクフルトモーターショーを取材するため、ドイツに滞在した鈴木さん

――鈴木さんはどのような経緯で自動車ライターになったのでしょうか?

大学を卒業したあと、バンドをやりながら校正の会社でアルバイトをしていたんです。最初は印刷所が仕事場でした。編集部から印刷所へ送られてきた「責了」状態の原稿(印刷する最終版ではなく、編集者やライターからの修正指示が入った最終原稿)を確認しながら、印刷前の最後の修正を反映する仕事です。

そのうちに印刷所の事務所で、原稿の間違いをチェックする校正をするようになりました。そしてバンドでプロになる実力が自分にはないと諦めたタイミングで、取引先の編集プロダクションから「働いてみないか」と誘われ、入社。それがライターとしてのキャリアのスタートですね。そこで3年ほど取材・執筆の仕事をみっちりと学びました。

独立後は、もともと音楽が好きだったので、ミュージシャンや芸能人などのインタビュー仕事を数多くこなしました。一方で、クルマも好きだったので、30歳ごろから中古車雑誌の仕事に関わるようになったんです。それからサーキットを走るようになり、レースに熱中したことで知識が増え、チューニングカー雑誌でも仕事をするようになりました。クルマの雑誌といっても、新車中心の雑誌と中古車やチューニングの雑誌では、活動範囲がぜんぜん違うんですね。僕の場合は、たまたま最初が中古車やチューニング雑誌だったので、そこで10年ほど仕事をしていました。

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40歳頃に、新車雑誌で仕事をしようと考え、活動の軸足をそちらに移しました。43歳で日本自動車ジャーナリスト協会の会員になり、50歳になった現在は、エコカーなど、先進技術についての取材・執筆が多いですね。雑誌は「ホリデーオート」や「モーターマガジン」、「オートメカニック」、ウェブメディアは「レスポンス」や「Web CG」、「価格コムマガジン」などで記事を書いています。

――ライターのキャリアのスタートは音楽誌なんですね。

そうなんですよ。僕が進んできたのは、自動車ライターとしては全然“王道”ではないんです。

モータージャーナリストになるには

――自動車メディアに関わる人の王道って、どのような進路なのでしょうか?

時代によって細かくは違いますが、大学在学時から新車を中心に扱う自動車雑誌でアルバイトをして、新卒で編集部に入社するパターンが王道だと思います。「自動車メディアの人間」としてメーカーなど自動車業界につながりを作りつつ編集者として経験を積み、編集部内で結果を出して30歳代で編集長に就任する。それからしばらく編集長を務め、40歳代にモータージャーナリストとして独立。これがこれまでのベストの形でした。

モータージャーナリストや自動車評論家として活動するには、メディアの人間、メーカーの人間、そして読者に認識されなければなりません。先ほどの「王道」を歩めば、スムーズに、その3方向に認められます。

――自動車雑誌の編集長になるのは、かなり狭き門に感じます。

必ずしも編集長にならなくても大丈夫だと思いますが、そもそも編集部に入るのはわりと難しい。さらに、今は紙媒体の市場が縮小しています。自動車メディアに限った話ではないですが……。

バブルの頃は、それこそ100誌は下らないくらい自動車雑誌がありました。さまざまな方向性の新車雑誌があったのはもちろん、カーライフ系雑誌、カーチューニング系雑誌、モーターレース系雑誌、中古車雑誌などいろいろ。でも、今残る自動車雑誌は半分ほどでしょうか。そこにもぐりこんで、メディアの人間、メーカーの人間、そして読者に実力や存在を認めてもらう。昔とは比べものにならないくらい難しくなったと思います。

取材する力と書く力

――これから自動車メディアに関わりたい人は、どのようにしたらいいでしょうか?

先ほど「王道」を紹介しましたが、学校を卒業して、そのままメディア側に入ることがいいとも限りません。なぜなら、社会人経験がないまま「メディアの人、業界の人」になってしまうと、どこか歪んでしまう可能性もあるからです。

社会人経験を積むという意味でも、一度ディーラーに入って営業マンになってみたり、整備士の資格を取って働いてみたりしてもいいかもしれません。実際に現場で働くことで、自動車関係の仕事の人や一般のお客さまがどんな情報を求めているのか知ることができ、自動車メディアを通じて何を伝えるべきなのかのヒントになるでしょう。

また、雑誌でもウェブメディアでも、私たちの仕事は基本的に「取材する、原稿を書く」の2点です。それがきちんとできなくては、メディアの仕事はできません。

そういう意味では、学校を卒業したらどこかの編集プロダクションに入るのもいいと思います。そこで自動車案件が担当できるのかどうかはあまり重要ではありません。取材する力、書く力を身につけるために、何年間かみっちり修行するのです。

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――進路に悩んでいる若者にメッセージをお願いします。

「自分はモータージャーナリストになる!」などと、今から自分の進路を決めつけすぎなくてもいいのかなと思います。

進んでみるまで、自分がどんな道を歩むのかはわからないもの。実際に、僕も学生のときに将来自動車ライターになるとは考えてもみませんでした。

アルバイトでも趣味でも遊びでも、そのとき熱中できるものを大切にしてください。どんな経験も、将来絶対に何かの役に立ちますから。

(田島里奈/ノオト)

<取材先>
●鈴木ケンイチ
1966年生まれ。茨城県出身。國學院大學卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。ライター歴25年。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。「見えにくいエンジニアリングやコンセプト、魅力などを分かりやすく説明する」のが信条。Twitter ID:@danganjiro

▼「モータージャーナリスト鈴木ケンイチの弾丸ブログ」
http://danganjiro.sblo.jp/

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