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『大人の言うことを聞け』はどう生まれた?――シンガーソングライターNakamuraEmiさんインタビュー

2017年12月19日

『大人の言うことを聞け』はどう生まれた?――シンガーソングライターNakamuraEmiさんインタビュー

『大人の言うことを聞け』はどう生まれた?――シンガーソングライターNakamuraEmiさんインタビュー

鋭い歌詞が印象的な曲、『大人の言うことを聞け』。歌うのは、幼稚園教諭や自動車のエンジン開発など数々の職業を経て、34歳で歌手としてメジャーデビューしたNakamuraEmiさんだ。

なぜミュージシャンという道を選んだのか。『大人の言うことを聞け』に込められたメッセージとは。話を聞いた。
 

大人になって怒ってくれる人がいなくなって、それが愛情だったとわかった


子どもから老人まで、同じ服を着た5人の女性が躍る『大人の言うことを聞け』のPV

――「大人の言うことを聞け」という曲には、「そっちこそこっちの空気を読め」「大人が正解なわけじゃない」など、挑戦的なフレーズがあります。どんなことを思いながらこの曲を作ったのですか?

自分が学生時代にこの曲を聞いていたらどう思っただろう、と考えながら作りました。今は自分も大人とされる年齢になってしまっているから、子どもたちの考えるすべてがわかるわけではない。でも、この曲が大人の話す言葉に耳を傾けるきっかけになればいいなと思っています。

――「子ども」に向けて書いたのは理由がありますか?

特に子どもと大人を分けて書いたという意識はなくて。自分もまだ子どもだと思っているし、立場によっても大人や子どもというのは変わるものだと思います。

音楽業界に入って、これまでの常識が常識ではなくなって。いまだに、号泣するくらいプロデューサーに怒られることもあります。でも、大人になってからそうやって怒られることってないんだなと思ったときに、あれが愛情だったんだ、とてもありがたいことだと改めて気付いたんです。

怒られたことを受け入れて、一生懸命努力することで、見える世界が少しずつ変わっていって。言いたくないことをわざわざ言ってくれているのは私のためなんだなと実感したときに、この曲を作ろうと思いました。周りにいるかっこいい大人が増えたからこそ、「大人」の話す言葉を素直に受け入れる余裕ができたのかもしれません。
 

この曲も聞いて捨ててもらって構わない。「は?」と思うきっかけにしてほしい

――実際に大人から言われたことに反感を覚えたことはありますか?

初めてボーカルスクールに通いたいと相談したときに、周りからは料金が高いこともあって猛反対されたんです。自分にとってはその教室と講師がすべてに見えていたから、自分がやりたい気持ちを否定されたように感じてしまって。でも今思えば、反対するには理由があるものだし、もっと耳を傾けて、いろんな選択肢を探してもよかったんだなと思います。

――歌詞の「この曲も聞いて捨てろ」というフレーズが印象的ですが、どんな思いが込められていますか?

この曲で伝えたかったことをすべて表していて、いい大人も悪い大人も、いろんな言葉をあなたに投げかけてくるけど、それをどう選ぶかはあなた自身だということを伝えたい。私自身が聞いてくれる人にとっていい大人かどうかもわからないいし、「は?」と思ってもらっても構わない。でも、こんなことを言ってる大人もいるんだな、大人からの言葉について、考えるきっかけにしてもらえたらうれしいです。

みんなから「良い人」だと言われるよりも、自分の意見を伝えられることが大事だと思う

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――Emiさんはどうしてミュージシャンになったのですか?

学生時代は、人を前にするとうまく気持ちを言葉にできずに後悔してばかりでした。人に合わせることばかりを気にして生きていたんですね。でも、口にできないことを歌詞にして音楽にして歌うことで、自分の中で消化することができたんです。

それで、20歳から30歳まで10年間、歌手になるために幼稚園の先生などいろいろな仕事をしながら音楽をやってみて、つらいことですが、自分の才能の無さにも気づいて……。「音楽は趣味としてやろう」と思って、自動車のエンジン開発部で働き始めたんです。

でも、「趣味」として自由に表現し始めた瞬間に、プロデューサーのカワムラさんなど、今、私の音楽活動を支えてくれている沢山の方に次々に出会って。その方々のおかげでミュージシャンになる道を切り開いてもらいました。

――なぜ、そこまで人に合わせたり、周囲を気にしたりするようになったのでしょうか?

中学に入学した途端に、女子グループから仲間はずれにされてしまって。考え方や物の見方は人それぞれ違うんだなと、そこで初めて認識しました。仲間外れにされたことがすごく辛くて、目立たずに生きていけた方がラクだとも思いました。それからは、みんなから良い人だと思われるように、嫌われないように過ごしていましたね。

――周囲を気にして自分の気持ちをうまく言えなかったとのことですが、現在はどうですか?

社会に出てから少し変わりました。特に音楽業界に入ってから、自分の意見を表明できないと、物事がうまく進まなくなるなと思って。仕事をしていく上で、みんなからいい人だと思われるよりも、自分の意見が言えることの大切さを実感しています。今も、人の心を読もうとしたり、顔色を気にしすぎたりする自分と戦っていますね。
 

今見えているものがすべてではないことは知っておいてほしい。「私も応援できる自分でいられるように一緒に頑張ります」

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――NakamuraEmiさんの今後の展望を教えてください。

これまでは、自分が人と出会って感じたことや大切な言葉を自分のために曲に残してきましたが、これからは、もっと聞いてくれる人たちの生活に寄り添う音楽を作っていきたいですね。そして、その言葉が同じように悩んでいる方に少しでも届くように、必要なときに音楽というものでそばにいられるように、全国各地にライブに行きたいと思っています。

まだ学園祭などで歌う機会はないのですが、実際にお会いして、話をして、メッセージを届けていけたらいいなとも思いますね。そのためにはもっと自分が歌い手として、そして人としても立派になって、人間力を高めないといけないなと。

――ミュージシャンになりたい中高生は、まずどうすればいいと思いますか?

「上手い」と認められるくらいに努力することはもちろん必要ですが、続けていくことで上手さよりもあなたらしさが大切になるときが来ます。良いところも悪いところも含めて自分の本性に向き合い続けて、トライ&エラーを続けていくことだと思います。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

学生時代は目の前にいる大人や同級生、学校が世界のすべてに思えてしまうかもしれないけど、決してそんなことはなくて。世界はものすごく広くて、いろんな正解があります。生き続けて、何かを一生懸命続けていれば、必ず自分の道が見つかるはずです。

もし、今の世界に思い悩んでいるとしたら、「世界は私の目の前だけじゃない」ということだけでも頭においてほしいと思います。そして、それを応援できる自分でいられるように私も頑張ります。一緒に頑張りましょう。

(取材・執筆:橋本結花 編集:田島里奈/ノオト)

<取材先>
●NakamuraEmi
神奈川県厚木市生まれ。J-POPを聞いて育ち、カフェやライブハウスなどで歌う中で出会ったHIPHOPやJAZZの影響を受け、歌とフロウを行き来する独自のスタイルにたどり着く。2016年1月日本コロムビアよりメジャーデビューアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』をリリース。華奢なスタイルと柔らかい雰囲気からは想像できないパワフルな歌声と核心をついたリリックは、一度聞いたら忘れられない唯一無二のメッセンジャー。
http://www.office-augusta.com/nakamuraemi/

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