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坂本龍馬は学校に通っていなかった――歴史を振り返れば、登校児か不登校児かは大きな問題ではないという話

2017年12月27日

坂本龍馬は学校に通っていなかった――歴史を振り返れば、登校児か不登校児かは大きな問題ではないという話

坂本龍馬は学校に通っていなかった――歴史を振り返れば、登校児か不登校児かは大きな問題ではないという話

「誰かに背中を押してほしい」。

その「誰か」は、必ずしも同時代に生きる人でなくてもいいのかもしれない。高知県・桂浜にある「高知県立坂本龍馬記念館」には、「これから新しい世界に飛び込むから、龍馬に背中を押してほしい」と学生や20~30代の人が多く訪れるという。

私たちとは違う時代を生きた龍馬が、なぜ現代にまで影響力を持つのか。同館の主任学芸員の三浦夏樹さんに話を聞いた。
 

無学だから「勉強ができない」「知識がない」のではない

01

――今日はよろしくお願いします。私はあまり歴史について詳しくないのですが……。

まず、歴史の魅力は人間らしさを感じられる点にあると思っています。「昔の人も今の人と全然変わらないんだ」「あ、こんな馬鹿なことするんだな」など、人間くささを感じられると面白いんですよね。龍馬はその人間らしさを特に感じられる人だということも、人気につながっていると思います。

――坂本龍馬は具体的にどんな人なのでしょうか。なんとなく「すごい人」というイメージなのですが。

簡単に言うと、「江戸幕府を倒すきっかけを作った人」です。当時、大きな力を持った薩摩藩と長州藩の同盟を成功させ、暴力ではなく、平和的な倒幕として、大政奉還を促します。

龍馬は、失敗しても諦めない性格です。亀山社中・海援隊という会社を創設し、「船で世界へ行く」夢をずっと抱いていました。しかし、同時に運悪く、船に縁のない人でした。亀山社中が入手した船「ワイルウェフ号」と「いろは丸」は沈没。手に入れる予定だった「ユニオン号」と「大極丸」は交渉決裂しています。

「ワイルウェフ号」沈没時は、弟のように可愛がっていた人が亡くなり、相当なショックだったはずです。船を使う海運会社なのに船が無く、解散を考えた時期もあります。しかし、仲間が「龍馬が船を手に入れるまで待つ」と言ってもらったこともあり、死ぬ最後まで夢をあきらめない人でした。

――仲間から人望があったのですね。

どこか憎めない人間味のある人だったからかもしれません。たとえば、英語を学ぶにしても、楽しそうに勉強しているのが、資料からわかるんですよ。

いまは国の重要文化財になっている「雑記帳」では、英単語を勉強をしている様子が資料として残っています。「少年=ヨングメン(young men)」「少女=ギリル(girl)」と単語の勉強をしていくなかで、なぜか「媚薬=ロフポーシュン(love portion)ホレクスリ」と書いていて。これを知ったときは、わたしも馬鹿だなぁと思いましたね(苦笑)。

――「歴史の人物」というと、堅い印象があったのですが、意外な一面もあるのですね。龍馬はどんな10代を送ったんでしょう?

資料は多く残っていませんが、“普通の武士”の考え方を身に付けていない可能性があります。当時、武士の家系では読み書きを家で習い、12歳頃から寺小屋など塾に通うことが一般的でした。しかし、龍馬は寺小屋をすぐに辞めています。当時の一般的な道を進まなかった龍馬だからこそ、周りの武士に比べて柔軟な発想ができたのではないかと言われているんです。

作家の司馬遼太郎さんはそこに目を付けて、小説『龍馬がゆく』では、“龍馬は無学である”という設定にしていましたね。龍馬は計画的で頭がキレるが、それは学校の教育からではない。学校に通っていなくても、頭が悪かったり、知識がなかったりするわけではないんだと。そんな龍馬像に憧れを抱いた人が多いのかもしれません。

――型にとらわれずに生きてきた人なんですね。なんだか励まされます。

たとえば、龍馬が中心となって結成した組織「海援隊」の入隊の規則は、たったの二つ。「脱藩者であること」と「海外への志がある者」。この考えからは、龍馬が藩や組織にとらわれていないことがわかりますよね。

同時代に生きていた人は「理由はわからないけど、なんだか龍馬が好き」と言っている人が多いんです。龍馬はとにかく器が大きい人物で、幕府側も倒幕側にも人望があった。だからこそ薩長同盟や大政奉還を成功に導けたのかもしれません。
 

歴史を振り返ると、真面目な優等生が活躍することもあるし、悪いことばかりして手に負えなかった人がリーダーとして人々をひっぱっていくこともある

02

――歴史って小説を読んでいるみたいに、それぞれの人物のエピソードが面白いのですね。

「単語を覚える」「年数を覚える」だけの歴史の勉強は、つまらないですよね。歴史の本当の面白さは、起こった出来事が今につながっているところと、現代にも通じるエピソードがあるところだと思っています。

――現代にも通じるエピソードって、例えばどんなことでしょう?

歴史をたどれば、真面目な優等生が活躍することもあるし、逆に悪いことばかりして手に負えなかった人が、後にリーダーとして人々をひっぱっていくこともあります。今でも、学生時代は落ちこぼれだと思われていたけど、後にある分野でものすごく活躍する人がいますよね。

なので、悩みごとがある時には「こういう境遇で苦労したんだ」「逆境で頑張って来たんだな」とか「すごい奴だけど、意外といい加減だな」など、歴史を知っておくと、気持ちが楽になることがあるかもしれません。悩むことがあれば、そのときは、ぜひ龍馬に会いに来てくださいね。

(取材・執筆:松尾奈々絵/ノオト 編集:田島里奈/ノオト)

<話を聞いた人>
●三浦夏樹さん
高知県立坂本龍馬記念館の主任学芸員。「1日の喜びを得たければ床屋へ行け。1週間の喜びを得たければ結婚しろ。1カ月の喜びを得たければ自動車を買え。1年の喜びを得たければ家を建てよ。一生の喜びを得たければ好きな仕事に就け」という言葉を知って、すでに公務員試験に合格していたにも関わらず、高校3年生の秋に進路変更。学芸員になった。

「学芸員は、新資料との出会いというお宝発見がありながら、歴史を伝える役を担う、面白い仕事です。中高生のみなさんにも、ぜひ好きな仕事に就いてほしいなと思います」
<取材先>
●高知県立坂本龍馬記念館
https://ryoma-kinenkan.jp/
〒781-0262 高知市浦戸城山830番地
高知県立坂本龍馬記念館
TEL : 088-841-0001
FAX : 088-841-0015
※2018年4月20日まで休館中。

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