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【書籍紹介】もし家族がアスペルガーだったら…? 医師2人が発達障害について語った対談録「大人の発達障害ってそういうことだったのか」

2016年8月10日

【書籍紹介】もし家族がアスペルガーだったら…? 医師2人が発達障害について語った対談録「大人の発達障害ってそういうことだったのか」

【書籍紹介】もし家族がアスペルガーだったら…? 医師2人が発達障害について語った対談録「大人の発達障害ってそういうことだったのか」
©医学書院

うつ、引きこもり、暴力、拒食症……。こういった症状や行動を起こす人が、実は発達障害だったというケースがある。

今回紹介する書籍『大人の発達障害ってそういうことだったのか』(宮岡等・内山登紀夫/医学書院)は、「発達障害の定義」や「発達障害が疑われる具体的な行動の紹介」、「精神科医たちの発達障害へのスタンス」、「本人や周囲の人間が発達障害にどう対応すればよいのか」など、発達障害に関する幅広い話題を取り扱った対談録だ。

▼『大人の発達障害ってそういうことだったのか』(宮岡等・内山登紀夫/医学書院)
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=84837

そもそも発達障害って?

発達障害とは、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害」(発達障害者支援法より)だ。

本書で、発達障害の発見が遅れた例として、17歳のときに不眠や家庭内暴力などで精神科を受診した男性のケースが紹介されている。

統合失調症疑いで、治療をするがうまくいかない。他の病院で境界性パーソナリティ障害と診断され、5~6年カウンセリングに通うも「社会復帰は無理」と言われて治療は終わる。引きこもり支援機関に入寮してもうまくいかず、何度も挫折を体験した後、30代のときに本書の著者・内山医師のクリニックに訪れ、典型的な自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断される。

「無表情で表情も硬いし、視線もあまり合わず、しぐさがぎこちない、表情と話の内容が合致しない、話し方がペダンティックといったアスペルガー感があったので、疑える要素はたくさんありました」(内山医師)

この男性は、発達障害者に適したアプローチを受け、ようやく生活が安定する。

内山医師は、「自閉症スペクトラム障害(ASD)に関しては、最近の複数の疫学調査で一~二%の数字が出ていますし、ADHDは五~十%ですね。学習障害(LD)も五%といった調査結果もありますし、決して稀な障害ではない」と語る。

発達障害で受診するのは精神科?

最近では「発達障害」「自閉症」「アスペルガー」「ADHD」という言葉が社会に浸透しつつあり、「自分は発達障害ではないか」と精神科を訪ねる人が増えているという。

しかしそこで問題になるのが、発達障害について「精神医学の教科書にはっきりとした記載はない」ということだ。実は、医師たちが発達障害の対応を迫られるようになったのは、ここ数年のことなのだという。うつやパーソナリティ障害などとの区別が難しい場合もあり、簡単に判断が下せない。

先ほどの男性の例のように、医療機関を受診したにも関わらず間違った診断を受け、正しい対処を取らなかったことによって、人生のうちの何年かを辛い状態で過ごしたとしたら……それはとても怖ろしいことのように思える。

それでは、発達障害の疑いがある当人や家族はどのように医師を選べばいいのだろうか?

本書では、発達障害の正しい診断ができるかは、「内面をどこまで尋ねるかにかかってくる」と同じ精神科医たちに向けて啓蒙している。DSMなどの診断基準に頼りすぎず、時間をかけて患者と面接し、医師からの質問に対してどのような反応があるか、どのような思考回路、受け取り方をしているかを見るべき、と。

上記をふまえると、「患者の内面に向き合い、時間をかけて面談する医師」が、発達障害の疑いのある本人や家族が「よい精神科医」を見極めるポイントかもしれない。

発達障害の当人や家族、友達や職場の人はどうするべき?

本書は、身近にいる発達障害者とどう接するのがよいのか、考える上でも役に立つ。

たとえば、ASDの人は、IQが高くてもコミュニケーション能力が低い。「『これぐらいはわかっているだろう』と思っていると、けっこうすれ違っている」ということは往々にしてあるという。口頭で伝えても理解されていないことが多いので、紙に書いて渡したり、メールをしたりと、視覚で提示したほうがいい。

発達障害があると、会社などでうまくやっていけないと考えがちだが、「うまく使えば会社の役に立つ人たちが多いんです」と内山医師は言う。「能力にデコボコがあるから平均したら低いのかもしれないけど、ピークをうまく使ってあげれば会社にとってもメリットがある」と。

宮岡医師は、発達障害が、これまでの精神疾患とは別の考え方をしなくてはならないことに気づいていく。それは“症状を減らすことだけが治療ではない”ということだ。

「治そうとするから難治になってしまうので、認めてしまえばいいんですよ。治そうとせずに認めて、患者さんが困らないように環境設定を変えると考えればよいのです」(内山医師)。

本書を読むと、発達障害の位置づけがわかり、対処法が明らかになる。生きづらい人、生きづらい人が身近にいる人に、発達障害の可能性を検討するためにも一読をおすすめする。

(与儀明子+ノオト)

<記事で紹介した本>
『大人の発達障害ってそういうことだったのか』(宮岡等・内山登紀夫/医学書院)
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=84837

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