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たまり場、そして進路相談室――24歳以下の非大卒は無料で使える「HASSYADAI CAFE」の今

2019年2月2日

たまり場、そして進路相談室――24歳以下の非大卒は無料で使える「HASSYADAI CAFE」の今

たまり場、そして進路相談室――24歳以下の非大卒は無料で使える「HASSYADAI CAFE」の今

Wi-Fiや電源を完備、飲食物の持ち込みもOKで、ドリンク1杯はサービスの無料カフェ。ただし、利用できるのは、「24歳以下で非大卒の若者」だけ。

そんなコンセプトで運営されているのが、原宿駅・表参道駅のいずれからも徒歩10分のところにある「HASSYADAI CAFE(ハッシャダイカフェ)」です。

2018年9月のオープンから約半年。チャンレンジングなコンセプトの同スペースは今、どんな場所になっているのか。店長の三浦宗一郎さんに案内してもらいました。

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ハッシャダイカフェがあるのは、大通りからは少し入ったところにあるものの、流行りのタピオカ専門店も近く、平日でも人通りが多いエリア。

もともとはアパレルショップだった建物の大きな窓から、たっぷりと光が差し込む明るい店内。内装は白と黒を基調にオープンな雰囲気にまとめられています。

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同スペースを運営するのは、学歴や地方格差で可能性に気づけない若者にチャンスを提供するサービス「ヤンキーインターン」などを手掛ける「ハッシャダイ」。

「ヤンキーインターン」は、18~24歳の非大卒の若者が同年代の仲間と共同生活を行いながら、営業やプログラミング、社会人マナーなどを企業の中で学ぶ半年間の研修です。参加費は無料。研修終了後には、就職や進学などそれぞれが次の道を選んでいきます。サービスを開始した2016年からの約3年で、卒業生は300人を超えるそう。

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同社が運営するカフェだからこそ、利用者も24歳以下に限定したとのこと。ちなみに訪問したのは平日の午前。24歳以下の利用者だけではなく、同社のスタッフが作業や打ち合わせ場所としても使っていました。
 

たまり場であり、進路相談室――家でも職場でもない居場所

私たちを案内してくれたのは店長の三浦宗一郎さん。1995年生まれの23歳。店長としてカフェの運営を手がけるかたわら、ヤンキーインターンのサポートや全国各地の高校での講演活動も行っています。

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――オープンから約半年、ハッシャダイカフェの利用状況はいかがですか?

いろんな子たちが来ていますね。平日の昼間は学校がある子も多いので、人が増えるのは夕方ごろからです。あと、通信制高校に通っていて、普段は学校に通っていないけれど、エンジニアになりたくてその勉強場所として利用している子もいますね。

週末は、TwitterやInstagramを見てやって来てくれたり、原宿に買い物に来たついでにぷらっと入ってきたりとか……。あと、今は寒いので、「どこでもいいから、室内で過ごしたい!」とか(笑)。

――特に目的がなく来ても大丈夫なんですね。

そうですね、利用目的は何でもいいです。勉強しても、遊んでいてもいい。お客さんが来たかどうかは僕が見ていますが、基本的には「自由に使ってくれ」というスタンスなので、入り口も開けっ放しですよ(笑)。

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――そもそも、どうしてハッシャダイカフェをつくろうと思ったのでしょうか。

若い子って、とにかく居場所が少ないんです。大人になれば趣味をつくったりして、交友関係を広げられますよね。でも、高校生だったり、それこそ中卒や高卒で働いたりしている子は、世界を広げにくい状況です。家と職場か、家と学校の往復みたいな毎日になってしまう。

もし学校や職場だけじゃなくて、家も居づらかったら、すごくつらいじゃないですか。そんな時の逃げ場、たまり場になれる場所がほしかったんです。

――確かにカフェに入るのにもお金がかかりますもんね。

そしてもう一つ、「リアルな進路相談室」をつくりたかったという理由もあります。非大卒の子が進路やキャリアを相談できる場所は、世の中には全然ありません。でも、学校にある「進路相談室」みたいな堅苦しいところにはしたくない。だから、カフェにしました。ちゃんと顔が見える相手に相談できると安心しますし。現在、利用者の2~3割とは進路の話もしています。

―――これまでに来たなかで、印象に残っているお客さんはいますか?

僕が外の席で作業していたときに、たまたま通りかかった高校2年生の女の子ですね。最初は学校や部活のことをカジュアルに話していただけだったんですが、「ちょうど進路選ばなきゃいけないのに、先生や親に相談しても決まらなくて……」という話になって。僕なりのアドバイスを色々していったら、「進路決めるきっかけになりました」と最後に言ってくれたんです。すごくうれしかったですね。彼女は、その後、何度もお店に来てくれています。

――彼女にとって、学校の進路相談とは何が違ったのでしょうか?

彼女の場合、親や先生には言いづらいことがあったみたいです。もし先生や親に「絶対に進学しろ」と何度も言われたら、やりたいことがあっても、ちょっと言い出しづらいじゃないですか。

そういうとき、僕らのような何の関係もない第三者だと、「何がしたいの? どんなことが好きなの?」と、フラットな視点で切り込めるし、「だったら、こういう進路もありじゃない?」と提案できる。本人も一方的に勧められた進路を選ぶのは抵抗があっても、自分のやりたいことに近づく方法だとわかると「進学もありかも」と思えるようになったり。

進路相談ってほど堅くならず、自分の人生を自分で考えて選ぶきっかけになるといいな、と思っています。

――関係がない第三者の目線が大事なんですね。

そうですね、あとハッシャダイ社員やヤンキーインターンのOB・OGなど、話を聞くと良さそうな大人がいたら紹介もします。ハッシャダイのメンバーの半分くらいは中卒・高卒で、いろんな生き方をしてきています。自分なりに選択を重ねてきたメンバーが多いので、めちゃくちゃ面白いエピソードが多くて。

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――確かに、そんな大人と出会う機会はあまりないですよね。

そうなんですよ。ロールモデルが少ないと、周りの大人の姿に選択肢を縛られてしまいますよね。

例えば、「大人」って一概に言っても、めちゃくちゃかっこいい人もいるけれど、超ダサい人もいるじゃないですか。この両極端の大人の姿を見れば、「こうなりたい」「なりたくない」と感じられて、「自分はこんなふうに生きたい」を想像しやすくなる。

だから、ぜんぜん違う生き方をしている大人にたくさん会ってほしい。でも、どこに行ったら会えるのか、わからないじゃないですか。だから、僕ら自身がその一人になって、ここを出会いのハブにしたいですね。
 

イベントを開きたいなら、場所は無料でレンタル

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外からも目立つ壁画は、ハッシャダイの世界観 BnAによるアートディレクションのもと平山達也さんとTOMO¥Aさんが「スペースコロニー」や「未完成」をテーマに仕上げた

――ここではイベントスペースでもありますよね。どんな企画を行っているのでしょうか。

これまでに、プログラミング勉強会や講演会、季節に合わせたクリスマスパーティーなど多種多様な企画をやってきました。あとは、ヤンキーインターンのOB・OG会を立食形式、100人規模で開いたこともあります。

ほかにも、24歳以下には無料で場所を貸しているので、自分で企画を立てる子もいますよ。僕らも、「その企画ならこうやったほうがいいんじゃないか」とかアドバイスします。でも、たまに店長の僕の知らないところでどんどん話が進んでいたり(笑)。それはそれで、面白いですけど。

――無料で貸し出すってすごいですね。

若い子たちが熱量高く取り組む企画って、人生を変えるきっかけになるんですよ。

ただ、若い子が開くイベントは、参加者も若い子。お客さん側から何千円も参加費をとれません。そうすると、たとえイベントが好評でも、会場費が高いとすぐに赤字になって、継続できなくなってしまう。だから無料で貸し出しているんです。

例えば、僕自身もニュージーランドをヒッチハイクで縦断した後に、その報告イベントを開きたかったんですが、経済的な理由で開催自体を諦めてしまったことがあります。

大きな変化のチャンスがあるのに、経済的な理由で失われていくのって、すごくもったいないじゃないですか。ハッシャダイカフェがあることで、そういうチャレンジが叶っていけばいいと思うんです。

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利用者が開いたジャグアタトゥーイベントの様子
 

居心地のいい場所であるための鍵は「人」

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――最初にお話していた居場所づくりって、スペースがあるだけでは成立しないように思います。何か工夫していることはありますか?

結局、居場所づくりで一番大切なのは「人」なんです。受け入れてくれる人がいるだけで、安心感があるというか。だから話したそうにしていたら、僕から声をかけたりします。「何の本読んでるの?」とか。本当にすごくカジュアルで、ただの友達みたいな感じです。

ここは困ったらいつでも来ていいし、来たら誰かとつながれる場所でありたいんです。だから、「おかえりなさい」って出迎えて、「いってらっしゃい、また来てな」って気持ちで送り出すことを意識しています。

――受け入れてもらえると感じると全然違いますよね。

そうですね、特にいろんな角度から多様性を受け入れたいな、って思っています。若いころって未熟な面もあるじゃないですか。社会では、それをネガティブに見られがちだと思うんです。

でも、僕らにとって、その若さ自体が可能性なんです。そして、そんな若い彼らから新しいものが生まれていく瞬間が見たい。だから、彼らの価値観を否定せず、肯定もせず、ただ受け入れるんだというスタンスを常に意識しています。

――若者にとって居心地の良い空間をつくるためには、「遠すぎる存在」にならないのは大事ですよね。

最近の子たちは本当にすごいんですよ! 学生時代にスマートフォンを使うのが当たり前の世代と、ガラケーだった僕らとは当たり前だと思っている価値観が全然違う。

今の高校生は、「服なんて買ってすぐ、メルカリで売ったらええやん」みたいなことを平気で言うんですよ。僕なんて、「いやいや、買ったものは長く大事に着ろよ」って言い返したくなっちゃう(笑)。

この間も、食べログを見ていたら、「なにそれ?」って言われちゃって。彼らは食べログの存在も知らなくて、飲食店もインスタで調べるんですよ。本当にびっくりしますね。

――自分も若者のつもりが、あっという間に彼らにとっては「遠い存在」の大人になっちゃいそうです。

だから、わからないことは正直に言うようにしていますね。「なにそれ、教えてや」って聞いて。これから先、僕らが理解できないことは、さらにたくさん出てくるでしょうね。

なので、彼らの価値観に触れられるのはやっぱりすごく楽しい。彼らの相談にのっていると、自分自身の人生も問い直されるというか……。僕自身も、すごく成長できるなと感じます。
 

来るたびに発見を! 進化するスペースを目指したい

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――オープンから約半年。これからどんなスペースにしていきたいですか?

イベントや勉強会に参加するとか、お店にいる人と話すとか、店に来るきっかけは何でもいいんですけど、とにかくいつ来ても新しい発見がある場所にしたいですね。

今は、いろいろな使い方ができるように、あえて家具を少なめにしていますが、これから、ソファや本棚を増やしたり、卓球台なんかも置いたりしようと思っていて。

――えっ、卓球台ですか?

ハッシャダイには、エイトコアバリューという社員が大切にするべき8つの心構えがあるんです。その中に、「Fun ideaを創り出そう」や「Crazyで挑戦的でいよう」という内容があって、そういう楽しいものも置いてみようかな、と。

ちなみに、最近は駐車場のところに、スケートランプ型のベンチを作りました。これってFun ideaでCrazyじゃないですか。ちなみに、本を置くのは「Life Long Learnerを追求しよう」、コミュニケーションを大切にするのは「Openな人間関係を構築しよう」というバリューから来ています。

この場所は、ハッシャダイと社会との接点でもあるんです。だから来てくれる子が楽しく過ごせるのはもちろん、僕たちが大事にしている想いやビジョンに少しでも触れてもらえたらうれしいな、と。僕たちもスペースも、いま絶賛進化中です。

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スケートランプとして使用するには難易度が高過ぎるため、あくまでもベンチ

――新しいところに行くのって緊張しますよね。「お店に行ってみたいけど、ちょっと迷っている……」という人に向けて、メッセージをお願いします。

実際に来るのって、やっぱりものすごくハードル高いですよね。だから、まずは気軽にTwitterとかでメッセージくれたら、心理的ハードルが下がるのかな、とは思っています。僕のTwitterでも、ハッシャダイのSNSでもいいです。ちょっとやりとりしてからの方が気持ち的なら、気軽にメッセージを送ってください。

原宿あたりって人も多いし、歩いていると疲れるじゃないですか。だから無料の休憩スペースだと思って利用してくれるといいですね。あと、地方の子なら、修学旅行とかで上京したときに立ち寄ってもらえたらうれしいです。

正直、本当に何も考えずに来てくれていいんですけどね(笑)。

(企画・取材・執筆:鬼頭佳代/ノオト  編集:松尾奈々絵/ノオト)

<取材先>
取材先名:ハッシャダイカフェ
詳細:24歳以下が無料で使えるカフェスペース。現在は、11~18時まで営業。日曜・月曜定休。
東京都渋谷区神宮前3-21-8 TS原宿第2ビル
URL:https://hassyadai.com/

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