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名前を変えるのは意外と簡単? 改名の手続き方法を専門家に聞いてみた

2019年3月2日

名前を変えるのは意外と簡単? 改名の手続き方法を専門家に聞いてみた

名前を変えるのは意外と簡単? 改名の手続き方法を専門家に聞いてみた

Twitter上で、「キラキラネームで悩む子へ。そろそろSNSを始めた頃だろうから。私は2年前に下の名前を改名しました」というツイートが話題になりました。キラキラネームをはじめ、何らかの理由で自身の名前に違和感を覚えるなど、改名を望む人は少なくないようです。

でも名前って、簡単に変えられるのでしょうか?

「インターネット上では、『改名なんて、簡単に許可されるわけがない』という情報が多く見られます。だから、相談に来られた方へ『大丈夫ですよ』と言うと、みなさん安心されますね」と話すのは、司法書士・吉越清顕さん。「改名・改姓相談.com」を運営し、年間100件の相談を受けている改名の専門家です。

いったいどのような理由なら許可されるのか? 中高生でも変えられるのか? 今回は名字ではなく、下の名前の変更に注目し、具体的な準備や注意点をお伺いしました。
 

15歳以上なら改名の手続きは自分でできる

申立書イメージカット

――中高生でも改名はできるのでしょうか?

もし明らかな理由があれば、戸籍上の名前を変更する「改名」は可能です。ただし15歳未満は、自分で改名の手続き(申し立て)はできません。15歳以上であれば可能ですが、改名は家族や親戚などへの影響もあるため、中高生だと親御さんの協力があったほうが楽に進められると思います。

そして、2回目の改名はほぼ認められないので、変えたい名前は慎重に選んでください。改名したあと、「やっぱりこの名前じゃない」と再度変えるのは極めて難しくなります。

――「光(しゃいん)」から「光(ひかり、ひかる)」のように、名前の読み方だけを変更したい場合は手続き不要と聞きましたが、本当でしょうか?

はい。戸籍(人の出生から婚姻、死亡までの出来事を記録した文書)に登録されているのは漢字だけです。もし漢字はそのままで、読み方だけを変える場合は、特に手続きは必要ありません。

ただ最近では、手続きの正確性を期すため、住民票(その人の住所地を証明する文書)の名前にふりがなを振っていく作業が進められています。公的書類なので、もし気になる場合はお住まいの市区町村の役所で住民票を確認してみてください。もし変更したい場合は、変更後の名前の読み方がわかる書類を提示すればOKです。

――吉越さんが改名の相談を受けるのは、どのようなケースが多いのでしょうか?

多いのは、出生届を出したあと「やっぱり違う名前にしたい」という親御さんからの依頼です。出生届の提出期限が2週間なので、「早く出さなきゃ」とあわてて出してしまう。そうすると、あとで「やっぱり違うな」となる人もいます。このケースは比較的、許可されやすいですね。

――親子で相談に来られるケースもあるのでしょうか? その場合、子どもからの希望なのでしょうか?

10代だと、親と子の希望が半々くらいですね。前者は親が再婚するときに、名字との兼ね合いで子どもの名前を変えたいなど。逆に、お子さんが変えたいと強烈に希望し、親が困って相談に来るケースもあります。
 

改名手続きにかかるのは1,500〜2,000円、期間は2週間〜1カ月半程度

家庭裁判所イメージカット

――改名の手続きには、どれくらいの費用、時間がかかるのでしょうか?

手続きにかかる費用は、申し立て手数料や郵便切手代を含めて1,500~2,000円くらいです。

期間は、家庭裁判所に申立書を提出してから結果が出るまで、長くて1カ月半、短ければ2~3週間くらい。提出書類に信ぴょう性があれば、スムーズに許可が下りるでしょう。あとは、家庭裁判所の混み具合によって変わってきます。

――家庭裁判所へ提出するものとは?

「申立書」のほかに、「申立人の戸籍謄本(とうほん)」と「名前を変更することについての正当な事由を証明する資料」を提出する必要があります。

――家庭裁判所と聞くとハードルが高く感じますが、個人で申し立てするのはやはり難しいのでしょうか?

手続き自体は、個人でも可能です。ただし特殊な事情がある場合などは、専門家に相談をすれば、「ここをもっと見せてあげると、裁判所が許可を出しやすい」、「こういった資料を用意しましょう」など、よりスムーズに進めるアドバイスがもらえるでしょう。

――改名の許可が下りたあとは、どんな手続きが必要なのでしょうか?

家庭裁判所の改名許可書(審判書)を持って、住民票もしくは本籍地のある役所へ行き、戸籍の変更届を提出してください。裁判所で許可されたとしても、戸籍の届出を出さないと名前は変わりません。

また、許可が出たあとは学校や銀行、保険など、なるべく早めに手続きをしておいたほうがいいですね。
 

成人より10代のほうが改名しやすい! まずは日常生活で通称名を使おう

――「キラキラネームだから変えたい」というのは、改名の正当な理由になるのでしょうか?

家庭裁判所へ提出する「名の変更許可の申立書」には、下記の理由が挙げられています。

1.奇妙な名である
2.むずかしくて正確に読まれない
3.同姓同名者がいて不便である
4.異性とまぎらわしい
5.外国人とまぎらわしい
6.神官・僧侶となった(やめた)
7.通称として永年使用した
8.その他

申立書原本
裁判所ホームページ「名の変更許可の申立書(15歳以上)」より一部抜粋

キラキラネームが当てはまるのは、「奇妙な名である」や「むずかしくて正確に読まれない」ですが、その名前がどれくらい奇妙かは、判断が難しいところです。

ネットで騒がれるような極端な名前、たとえば皇帝(えんぺらー)や光宙(ぴかちゅう)などであれば、許可される可能性はあるでしょう。

――何をもって「キラキラ」なのか、という話になるわけですね

そうですね。特殊な漢字でも、当て字感が弱く普通に読めれば、許可されないケースもあります。その場合は別の理由を用意したほうがいいでしょう。

改名でよく使われる理由は、7の「通称として永年使用した」です。これは、本名とは別の名前(通称名)を長く使っているという意味。長期間使っていること自体がポイントなので、なぜ別の名前を使用しているのかはあまり問われません。

 

通称名の重要なポイントは、「証拠を集める」「名前を一つに絞る」

スマホ操作イメージカット

――「通称として永年使用した」という理由で申し立てするには、どうすればよいのでしょうか?

変えたいと思っている名前を「通称名」として、先に日常生活で使ってみましょう。たとえば友人からのメールやLINE、手紙など、その通称名が使われている時期が分かる証拠をなるべく多く残してください。学生なら先生に相談して、学校で通称名を使うのもいいでしょう。学校の書類で通称名が使われていれば、改名の強い証拠になります。ただし、書類には必ず日付を入れてください。

逆に証拠として弱いのは、ネット通販で購入した際の伝票類など。自分で入力できてしまいますからね。

大人の場合は5~7年分の資料を集める必要があります。10代なら3~5年くらいで許可されるかもしれません。

――年齢が若ければ、使用期間が短くてもいいということですか?

20歳を超えると携帯電話やカードローンなどの契約ができたり、アルバイト先などで交友が広がったりします。他者との関係性が広がるとさまざまな影響が生じるため、簡単に改名を許可できないのです。

しかし、10代の子が「誰かから1億円借りている」「慰謝料を払わないといけない」という事態は、ほとんどありえないでしょう。交友関係も20歳以上と比べると狭い場合がほとんどです。そのため、もし本当に名前を変えたいのであれば、10代のほうがスムーズに手続きできると思います。

 

ネット上の誹謗中傷や虐待も、改名の理由として認められる可能性がある

学校イメージカット

――キラキラネーム以外に、10代が改名を希望するのはどんな理由ですか?

「親から虐待を受けていて、逃げるために名前を変えたい」、「ネット上で誹謗中傷を受けている」、「トランスジェンダーで、自認する性別に対して名前に違和感がある」といったケースが挙げられます。

例えば改名理由が虐待の場合、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断書や児童相談所の記録が証拠となるので、取っておいたほうがいいでしょう。

また、ネットでの誹謗中傷を理由に名前を変えたい場合も、掲示板やSNSの画像、そこに書かれているのが自分であると分かるような資料が証拠になります。たとえば住所や名前をネット上に晒されている証拠があれば、変えやすいです。また、その影響で「うつ」や「睡眠障害」になったなど、医師の診断書があればなお認められやすいでしょう。

資料を集めると同時に、通称名を使うのも効果的です。もし「ネットで誹謗中傷されているが、名前を変えるほどではない」となったとしても、すでに通称名を1~2年使っていると証明できれば、変えられるかもしれません。いわば「合わせ技」ですね。

――生まれたときに割り当てられた性別と自認する性が異なる「トランスジェンダー」の場合はどうでしょうか?

「戸籍上は男だけど性自認が女なので、女性の名前にしたい」というのは認められやすいでしょう。医師の診断書に「性同一性障害なので、名前を変えたほうがいいですよ」と書いてあれば、概ね大丈夫です。

ただ例外として、本人が結婚していたり、子どもがいたりする場合は、やや難しくなります。また、もともと中性的な名前、たとえば「光」や「純」だった場合に認められるのかどうかは、微妙なラインですね。

LGBTについては専門の法律家団体があり、改名についても情報共有をしているようなので、そちらに相談するのも一つの方法です。

――最後に、自分の名前で悩んでいる人に向けてメッセージをお願いします

インタビューカット

改名をするならば、まず変えたいと思っている名前を先に使い始め、それを続けてください。長年使用するほど、許可される可能性は高くなります。いまは本人確認をされるケースも多いので、証拠が作りづらいかもしれませんが、まず友達や身近な人にお願いしてみましょう。

他の理由(誹謗中傷や虐待など)があれば、それほど長期間でなくても認められるケースもあります。ただし、再度変更することはできませんので、変えたい名前を慎重に考え、1つに絞って使用してください。

あとはやはり、親の説得ですよね。15歳以上であれば改名の申し立て自体は1人で可能ですが、親の了解を得ていないと後々トラブルになる可能性も高い。とにかく親や友人に理解を求め、行動すること。それが一番の近道です。大変かもしれませんが、がんばってください。

(取材・執筆:村中貴士 企画・編集:鬼頭佳代/ノオト)

<取材先>
吉越清顕さん

司法書士。2006年、司法書士試験に合格。2012年、性同一性障害の方からの相談をきっかけとして、改名手続きに取り組み始める。名前でお悩みの方に向けた専門サイト「改名・改姓相談.com」を開設し、年間約100件の改名相談に対応している。弁護士法人浅野総合法律事務所に所属。
改名・改姓相談.com https://kirakira-kaimei.com/

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