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多様な教育の今を知り、仲間と出会う――全国4会場に広まる「エデュコレ2019」イベントレポート

2019年11月5日

多様な教育の今を知り、仲間と出会う――全国4会場に広まる「エデュコレ2019」イベントレポート

多様な教育の今を知り、仲間と出会う――全国4会場に広まる「エデュコレ2019」イベントレポート

「エデュコレ2019 in 関東」が10月14日(月・祝)、品川区にある区民会館・スクエア荏原で開催されました。

国内のさまざまな教育と出会い、教育関係者や子どもと関わりを持つ人同士がつながることが目的の同イベント。2009年のスタートから6回目を迎える今年は、初開催の東海・九州が加わり4会場へ拡大。

今回は、ほか3会場に先駆けて開催された関東会場でのイベントをレポートします。
 

オルタナティブ教育やEduTechなど、新しい教育に触れる出展ブース

メインコンテンツは出展ブース。関東会場では、ユニークな取り組みを行う学校からオルタナティブ教育、EduTechまで幅広い分野の教育の実践者38団体が集まりました。

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「日本イエナプラン教育協会」ブースの様子

なかでも多くの参加者が訪れていたのが、「日本イエナプラン教育協会」のブース。イエナプラン教育とは、オランダを中心に世界各国に広がり始めている、一人ひとりを尊重しながら自律と共生を学ぶ教育のこと。2019年4月に日本初のイエナプランスクール「茂来学園 大日向小学校」が開校するなど、国内でも注目が高まってきています。

「イエナプラン教育は“メソッド”ではなく“ビジョン”」と話すのは、協会理事の山ノ井芙美(やまのい・ふみ)さん。イエナプランは、異年齢のクラス編成や複数の教科を横断して学ぶ「ワールドオリエンテーション」など特徴的な教育手法が注目されやすいもの。しかし、もっとも大切なのは「子どもにどう育ってほしいか」というビジョンであり、メソッドはそれを叶える手段なのだそう。

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「eboard」の使い方を解説する熊谷一亮さん

続いて紹介するのは、小中高校生向けのオンライン学習サイト「eboard(イーボード)」のブース。

小中高生向けに約2500本の映像授業と約7000問に取り組めるオンラインドリルが用意されている同サイト。2014年に日本eラーニングアワードで「文部科学大臣賞」を受賞し、300以上の学校や学習塾で導入が進んでいます。

NPO法人eboardの熊谷一亮(くまがい・かずあき)さんは「映像授業は先生が横で寄り添って教えてくれているような雰囲気の動画です。学習に遅れのある子どもはもちろん、発達障がいのある子どもにも、使いやすいと好評いただいています。また、先生は教科指導の一部を動画学習に充てることで、生徒たちの意欲や学習方法の支援に時間を割きやすくなるんです」と話します。
 

多様な居場所が必要な一方で、選択肢を持てない子どももいる

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「どうする? どうなる? 学びの場の多様化」をテーマにトークセッションも開催。

「不登校の子どもが増えている現在、多様な居場所が必要となっています。一方で、貧困など家庭状況が複雑な子どもは、居場所を選べない現状がある」と話題を振ったのは、教育コーディネーターであり、エデュコレを主催する「Demo」の武田緑さん。

これに対して、教育行政学や教育財政学を研究する日本大学文理学部教授の末冨芳(すえとみ・かおり)さんは「子ども・家庭の状況を把握している学校が、地域の居場所と情報を共有し、子どもたちを居場所につなげる必要がある」と話します。

また、地域の中で学びの場づくりに取り組む「多様な学びプロジェクト」を運営するFUTURE DESIGN代表の生駒知里(いこま・ちさと)さんは「居場所には所属感が大切。地域の中で自分たちの家庭を認めてくれる人がいることが、地域への所属感とつながる」と強調します。

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「そもそも学校って変わるのでしょうか? 学校外の整備を進めた方がいいのではないでしょうか?」と疑問を投げかけたのは、不登校・ひきこもりの子どもの支援を行っている「NPO法人ネモちば不登校ひきこもりネットワーク」理事長の前北海(まえきた・うみ)さん。時代に合わせて変わろうとする学校もある一方、公教育全体を変えるには莫大な時間と労力が必要だと感じているそう。

そんな疑問に対し、「『学校に合わない子どもは外部に任せればいい』という空気になると、学校が崩壊する可能性がある」と話す末富さん。また、武田さんは「フリースクールをビジネスモデルとして成り立たせることが難しい現状では、外部で受けきれる子どもの数にも限界がある」と付け加えます。

学校にできることを増やしつつ、地域の居場所を増やしていくこと。そして、それぞれの役割を分担し協働していくことが、多様な選択肢を選べる社会には重要なのかもしれません。

 

多様な教育を広げるだけでなく、視点を変えて見つめ直す

エデュコレではゲストや参加者同士がつながる機会として、少人数で話し合える場を設けています。

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「ロールモデルトーク」は、公立学校や教育系企業、NPO法人などさまざまな分野で活躍する教育実践者と参加者が1対1での対話や少人数グループでのディスカッションができる時間。それぞれの取り組みや教育観にも深く触れられます。

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イベントの最後は「振り返りワールドカフェ」。「今日、エデュコレで感じたこと・考えたこと・得たこと&これからどうしていく?」をテーマに意見を出し合い、こんな感想があがりました。

「小さな頃からさまざまな価値観に触れ、認められることが大切だと感じた」
「親や先生が多様な選択肢があることを伝える必要がある」
「選択肢を伝えるだけじゃなく、子どもが自分で選べるようにしないといけない」
「学校外の居場所が少ない地域もあるため、もっと居場所を増やしたい」

一人で考えたり、身近な人に話したりするだけでは得られない視点もあるはず。さまざまな立場の人と一緒に、よりよい教育の未来のために必要なことを議論する機会は、自身の教育観を振り返るきっかけとなるでしょう。

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関東・関西に加え、東海・九州を含む4会場開催となった今年のエデュコレ。その経緯と意気込みを武田さんに伺いました。

「多様な教育をめぐる状況には地域格差があります。徐々に選択肢が増えてきている関東や関西。そこと比較すると、ほかの地域の選択肢はまだ多くはありません。また、エデュコレはゲストや参加者同士がつながることを目指しているので、ある程度地域ごとに教育関係者が集まれるようにしたい。そんな思いから、4会場での開催に踏み切りました」

2016年12月には不登校児童・生徒や夜間中学などを支援する通称「教育機会確保法」が成立。教育が多様になり、不登校に対する認識も変わりつつある一方で、不安もあると言います。

「『学校は絶対に行かないといけない場所ではない』『いろんな学び方があっていい』という意見が広まっているのはうれしいことです。ただその反面、家庭や地域によっては学校が唯一のセーフティネットとなったり、学校以外での学び育ちが保障できなかったりする場合もあります。一人ひとりの子どもが幸せに学び育つためには、慎重に仕組みづくりをしていく必要があると思います」

こうした背景を受け、今年のエデュコレはさまざまな教育実践者を紹介するだけでなく、いろいろな視点から教育のあり方を見つめ直すヒントを取り入れています。

「まだまだ地域格差があるとはいえ、多様な教育についての認知は進んできている現在。次のフェーズとして、エデュコレの役割を変えていくことも視野に入れています」

多様な教育の今を知り、仲間と出会えるエデュコレ。お近くの会場へぜひ足を運んでみては。

エデュコレ2019〜多様な教育の博覧会〜(https://educolleinfo.wixsite.com/website/home
 
【東海会場】
日時:2019年11月10日(日)11時〜17時
場所:名城大学 ナゴヤドーム前キャンパス
 
【関西会場】
日時:2019年11月17日(日)11時〜17時
場所:デザイン・クリエイティブセンター神戸ーKITTOー
 
【九州会場】
日時:2019年12月8日(日)11時〜17時
場所:立命館アジア太平洋大学(APU)
 
※各会場、当日参加可
 

(取材・執筆:野阪拓海/ノオト  編集:鬼頭佳代/ノオト)

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