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「いじめたい気持ち」とどう向き合う? 「#元いじめられっ子から今いじめられている君へ」で語る、たかまつななさんの想い

2020年7月3日

「いじめたい気持ち」とどう向き合う? 「#元いじめられっ子から今いじめられている君へ」で語る、たかまつななさんの想い

「いじめたい気持ち」とどう向き合う? 「#元いじめられっ子から今いじめられている君へ」で語る、たかまつななさんの想い

私は、昔いじめられていました。

学校に行きたくない。居場所がない。生きるのが辛い。
人見知りで、人に裏切られるのが怖くて、いつもぼっちでした。
口を開けば、生意気だと言われました。

引用:元いじめられっ子から今いじめられている君へ|笑下村塾HP

そう語るのは、笑下村塾取締役のたかまつななさん。フェリス女学院卒のお嬢様芸人として活動するかたわら、お笑いを通してさまざまな社会問題を発信しています。

2020年4月、たかまつさんは「#元いじめられっ子から今いじめられている君へ」というプロジェクトを立ち上げました。プロジェクトには、いじめ経験を持つ4人のお笑い芸人・タレントが参加し、動画や記事で多様な体験談を伝えています。

今回は、たかまつさんがプロジェクトにかける想いや自身のいじめ経験、そして「いじめたい」という感情の向き合い方などを伺いました。
 

今いじめられている子に「君は一人じゃない」と伝えたい

プロジェクトに登場するのは、お笑いコンビ・たんぽぽの川村エミコさん、ライセンスの藤原一裕さん、ピン芸人のくまだまさしさん、タレントの春名風花さん。全員が「いじめられている子に少しでも寄り添いたい」という想いへの共感から、参加を決めたそう。


▲動画では正しく伝わるようにテロップを出しながら、軽快なテンポでわかりやすくいじめ体験を伝えている

プロジェクトを立ち上げた背景には、たかまつさん自身が受けたいじめの経験がありました。

「私自身も、小学生の頃に大阪府から神奈川県に引っ越しをして、方言の違いでよくからかわれていたんです。それで学校になじめず、『転校したい』と毎日泣いていました。そうした経験から、いじめに苦しむ子どもたちの力になりたいとずっと思っていて……。今回はさまざまな方の協力を得て、ようやくそれが形になりました」(たかまつさん、以下同)

2010年以降、子どもの自殺数は増加傾向にあり、いじめはその原因の一つでもあります。

直近10年間では、18歳以下が対象の「子どもの自殺」のうち、長期休暇の後半や休み明けである8月下旬、9月上旬、4月中旬に自殺者数がとくに多いとされています(平成27年版自殺対策白書より)。

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平成27年版自殺対策白書」(内閣府)を加工して作成

同プロジェクトでは、自殺者数が多い4月を第一弾として4人の体験談を発信、現在は8月以降に配信予定の第二弾に向けて準備を進めています。たかまつさんは、プロジェクトを通して、いじめられている子に「君は一人じゃない」と伝えたいと話します。

「カツアゲ、暴力、悪口、殺害予告などなど。いじめには、いろんな種類があり、人それぞれ経験しているものが違います。だからこそ、できる限りたくさんの人の体験談が、いつでも見られる場を作ろうと思いました」

いろんな種類のいじめがあるのと同様に、「いじめへ対処法」も多種多様です。

自分の好きなことに没頭して耐えてきた川村さん、環境を変えて体を鍛えることで好転した藤原さん、親に言うことが解決に結びついたくまださん、ネットいじめに対して自ら裁判を起こした春名さん。

「同じ考え方や近い境遇を持つ人が見つかれば、『こんな思いをしているのは自分一人だけじゃないんだ』と思えるかもしれない。そうすれば、『この人が勧めるのなら、周囲の大人に相談してみよう』と自殺以外の選択肢に目が向くかもしれませんから」
 

誰かに寄り添うための発言が、誰かを傷つけてはならない

さまざまな体験談を伝えることは、現在いじめに苦しんでいる子を勇気づける一方で、意図が正しく伝わらないことで、逆に傷つけてしまうリスクもあります。

そのリスクを下げるため、いじめ問題に詳しい千葉大学教育学部の藤川大祐教授が監修として同プロジェクトへ参加。視聴者・読者への細やかな配慮をしています。

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「発信する以上、責任が伴います。『力になりたい』と言って参加いただいた方々の発言が、誰かを傷つけるような内容になってはならない。だから、監修の藤川教授と相談しながら、誤解が生じそうな発言にはテロップを入れたり、虐待を受けていて親を頼れない子どものための相談窓口を記載したり、と工夫を重ねました」

そうした想いが通じたのか、動画には「親子で見ています」「●●さんの言葉にとても共感しました」「自分が子どもの頃に見たかった」と数多くの肯定的なコメントが集まりました。
 

「いじめたい」という感情との向き合い方

4人のゲストとの対話を経た現在、たかまつさん自身は「いじめ」へどのようなまなざしを向けているのでしょうか? 「加害者側のもつ“いじめたい”という気持ちの向き合い方」について、言葉を選びながら話します。

「いじめを減らすことはできても、完全になくすことは難しいと思っていて。程度の差はあれ、『いじめたい』というのは、人間にある根源的な感情な気がします。だから、この感情とどう向き合うのかが大切だと思うんです」

自身もお笑い芸人として活動するなかで、「いじめ」と「いじり」の違いについてもよく考えるというたかまつさん。「容姿や言動へのいじりがコミュニケーションの一種」になっている現実を踏まえ、本当に嫌がっている人へのいじりはいじめにつながると訴えかけます。

「いじめをしている子自身、何かしら課題を抱えているケースが多いと思うんです。たとえば、クラスメートに暴力的な言葉をかける子どもは、親からそうした言葉をかけられ続けてきたのかもしれません」

その上で、「大変かもしれないけれど、自分の子どもに『いじめをさせない』ようにしてもらいたい」と保護者側へも協力を求めます。

「子どもをよく見て、しっかりと愛情をそそぐこと。もしもいじめや差別をしていたら、『それはダメなことだよ』としっかり伝えること。そうすることで、いじめは減らせると思います」

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同時に、いじめられているクラスメートがいる子どもに対しては、「加害者に回らないこと」の重要性を伝えます。

「いじめている子を直接注意するのは難しいかもしれませんが、いじめられている子の話を聞いたり、相談窓口を教えたりできると思います。そういう声かけによって、いじめられている子は『自分はひとりじゃないんだ』と安心できるんじゃないかと思うんです」
 

「正しく怖れること」の重要性

最近では、配達員や医療従事者を親に持つ子どもを仲間はずれにするなど、新型コロナウイルス感染症に関わるいじめや差別、偏見も話題になりました。

「あの子の親は医者だから近づいてはいけない、あの家で感染者が出たから予防のためにみんなに知らせなきゃ……。こうした差別、偏見が生まれる背景には、『感染拡大を防ごう』という正義感があると思っていて。でも、その正義感は当事者を傷つけているだけで、何の解決にもなっていません」

そうした問題を防ぐために、たかまつさんは「正しく怖れること」を訴えかけます。

「大切なのは正しい知識を得て、冷静に対処することです。2メートル距離を空けて話す、手洗い・うがいをこまめにする、マスクを着用するなどを徹底していれば、感染リスクは下がると言われています。そうしたことを知っていれば、過度に不安にならず、みんなで協力していこうと思えるでしょう」

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いじめに苦しむ子どもに向けて、いじめ体験を語り、メッセージを届ける「#元いじめられっ子から今いじめられている君へ」。プロジェクトに参加できるのは、お笑い芸人やタレントなどの著名人だけではありません。

動画の備考欄では、ハッシュタグ「#元いじめられっ子から今いじめられている君へ」を通じて、いじめの経験や子どもたちへのメッセージのシェアを呼びかけています。

現在も、世の中にはさまざまな事情を抱えた子どもたちがいます。たくさんの人が協力して発信することで、子どもの不安を和らげ、自殺を防ぐ一助となるかもしれません。ぜひメッセージを届けてみてはいかがでしょうか。

(企画・取材・執筆:野阪拓海/ノオト  編集:鬼頭佳代/ノオト)

<取材先>
たかまつななさん

1993年生まれ。フェリス女学院出身のお嬢様芸人として、テレビ・舞台で活動するかたわら、お笑いを通して社会問題を発信している。慶應義塾大学大学院と東京大学大学院情報学環教育部在学中に、株式会社笑下村塾を設立。同社取締役として、主権者教育やSDGsの普及・啓発や講演会、イベント企画などを手がける。

たかまつななチャンネル https://www.youtube.com/user/takamatsuch

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