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世界の一流講義が無料?中高生がオンライン授業「MOOCs」を活用するコツ

2020年11月27日

世界の一流講義が無料?中高生がオンライン授業「MOOCs」を活用するコツ

世界の一流講義が無料?中高生がオンライン授業「MOOCs」を活用するコツ

休校や自粛生活で自宅学習を行う人が増加したことに伴い、充実した講義が受けられるオンラインプラットフォームの存在が目立ってきています。

とはいえ、「どうやって魅力的な授業を探せばいいのかわからない」「孤独な学習でモチベーションを保てるか不安」という人も多いのではないでしょうか?

中高生に向けて、海外の大学講義を日本語で学べるオンラインプラットフォーム「Asuka Academy(アスカアカデミー)」運営事務局の中村久哉さんに、活用方法を伺いました。
 

無料で学べるネット講義「MOOCs(ムークス)」

そもそもMOOCsとは“Massive Open Online Courses”の頭文字をとった言葉。世界各国の大学、あるいは大学レベルの研究機関がインターネットを通じて無料で提供する講義全般を指します。

中村さんいわく、MOOCsが世の中に誕生したのは2010年頃で、現在では世界中で有効的な学習手段として定着しているとのこと。国内外の代表的なMOOCsは以下のとおりです。

<日本語で受けられるMOOCsなど、オンラインプラットフォーム例>
JMOOC
https://www.jmooc.jp/
gacco
https://gacco.org/
アスカアカデミー
https://www.asuka-academy.com/

<英語で受けられるMOOCsのプラットフォーム例>
EdX
https://www.edx.org/
Coursera
https://www.coursera.org/
Future Learn
https://www.futurelearn.com/courses

「海外のMOOCsは単位認定や証明書発行のために一部、有料講義もありますが、JMOOCやアスカアカデミーでは無料で学習できます。日本の大学の講義を受講できるJMOOCに対して、アスカアカデミーは海外の一流大学の講義を日本語の講義説明文と日英字幕付きの講義で学ぶことが可能です。中高生向けのコンテンツも特集としてご紹介しており、生徒のみなさんが始めて海外大学の講義に触れることも想定したプラットフォームです」

MOOCsではコースを修了するとWEB上で「修了証」が発行され、それを大学受験や転職活動に活用する人も多くいるそうです。また、なかにはオンライン講義を修了することで、大学の単位を半分取得したのと同等の価値を持つ講義もあり、入学を希望する大学の講義を受講する人もいるのだとか。
 

MOOCsではどんなことが学べるの?

MOOCsの魅力は、場所や時間を問わず無料で学べる点に加え、多彩な講義の中から学習目的や個人の興味関心に合わせて選べること。たとえば、AIやプログラミング言語といったテクノロジー関連、キャリアアップが期待できる語学や経営学、ロジカルシンキング、教養が広がりそうな芸術やスポーツまで、豊富なコンテンツがそろっています。

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アスカアカデミーが提供する中高生向けのコンテンツをまとめたページ

海外の一流大学の講義を、日本語の講義説明文と日英字幕付きの講義で提供するアスカアカデミーでは、中高生向け特集として、「サイエンス」「SDGs」「英語ニュース教材」といったカテゴリーが用意されています。

化学や物理学、環境問題、ダイバーシティ、ワールド・グルメ、ロボットなどいずれも、質の良い学習コンテンツとして世界で高く評価されているものばかり。

英語字幕・日本語字幕の両方を同時に見ることも、どちらか一方を見ることも、完全に字幕を消して見ることもできます。英語と日本語がなるべく対になるように翻訳が調整されているので、英語学習にもピッタリだそうです。
 

休校で登録者が約1.8倍に! 需要が急上昇

以前から学習方法の一つとして存在していたMOOCsですが、2020年の休校や自粛に伴い、利用者数が急増しています。

「2020年2月末時点で約34,000人だったアスカアカデミーののべ学習者が、2020年5月末時点で一気に倍の6万人を突破、この短期間で約180%の伸びとなりました」

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この背景には、テレビやWEBメディアでMOOCsの存在が大きく取り上げられたこと、学校や家族からの紹介などがありました。

「世界のMOOCsも軒並み利用者・利用時間が増えています。たとえば、Courseraでは30日間でコース登録数が1000万を超え、昨年と比較して644%になるなど勢いよく伸びています。また、需要増に伴い無料トライアル期間を延長したMOOCsもありました」

MOOCsの検索エンジンおよびレビューサイト「Class Central」によれば、このパンデミック期間に人気を得ているコースは、「健康の科学」「コンピューターサイエンス」「機械学習」「起業」「メンタルヘルス」「心理学」など。スキルアップ目的以外に心身の健康に目を向けた人が多かったことも伺えます。
 

まずは短時間の講義から。MOOCsの始め方

目的に応じて多彩な講義が選べるのがMOOCsの魅力です。しかし、膨大な講義のなかから自分の目的に沿った魅力的な講義を見つけるのはなかなか大変です。

中村さんは選び方のヒントとして、「まずはハードルが低いものから始めてみてほしい」と話します。

「最初は興味関心のある分野、スキルアップしたい分野の中から、数分で終わるショートコンテンツを受講してみましょう。たとえば、アスカアカデミーの人気教材である『AFP WAA』シリーズは、1本の動画が1分前後と非常に短く気軽に学べます。こういった教材や講座をいくつか受けてみて、より深く学びたいと思えたら長時間の講義にトライすると良いかと思います」

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そのほかにも、海外のMOOCsはコースの登録人数や受講生による評価や口コミが投稿されていて人気の高い講義がひと目でわかるので、講義を選ぶ際のヒントになりそうです。また、各MOOCsではメールマガジンが配信されていて、その中でも人気の講義やオススメの講義が紹介されているので、そこから選んでみるのも良いでしょう。
 

オンライン学習で英語の壁を乗り越えるには?

海外の有名大学の講義を受けてみたいけれど、英語での受講はハードルが高いと感じる人には「日英両方の字幕を見ることができる講義から、学習をスタートしてみてほしい」と中村さん。

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日本語字幕のみを表示した状態

「最初は日本語字幕のみ、続いて日英両方の字幕を並べて、次は英語字幕のみ、最終的にはすべての字幕をオフにして見るのが私のオススメです。その分野のベースの知識を日本語で理解してから英語のボキャブラリーを習得し、最後はリスニング力を強化する。地道で時間はかかりますが、効果を実感しやすい方法だと思います」

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日英両方の字幕を右側に表示した状態(大画面で見ることも可能)

そして、もう1つ、英語力を身に付けるのに最適なのが、アスカアカデミーで実施されている「翻訳ボランティア」。これは、英語で行われた講義を利用者のために日本語に翻訳をする作業で、中高生をはじめ、のべ1700人が参加しているそうです。

翻訳作業はGoogle Driveを活用して、翻訳からコミュニケーションまでの一連をすべてオンライン上で行うため、学生にとってはICTの良い活用実践にもなっているのだとか。

「最近は翻訳ボランティアの希望者がかなり多く、中高生のみなさんにもたくさん携わっていただきました。ボランティア証明証を発行しており、AO入試の面接資料や就活の材料に活用したという声も聞かれます」

翻訳は専門的な知識を伴うものであり、英語に自信がある人でも最初は日本語での適切な説明の難しさに挫折するそう。しかし、それを乗り越えて1つの作品として完成させることで、大きな自信やスキルアップにつながっているとのこと。
 

孤独な学習環境で、モチベーションを維持するには?

魅力的な授業が多く便利な一方で、オンライン学習は孤独との戦いでもあります。

「オンライン学習の一番の課題は『継続』であり、修了率は1〜2%とも言われるほど。1人で画面に向かって勉強を続けるのは難しいことなんです」

中村さんが言うとおり、海外のMOOCsも修了率は無料コースで10%以下、有料コースでも40〜90%と幅があるようです。モチベーションを維持する方法について、中村さんは「コミュニティへの参加」と「学習成果の可視化」を挙げてくれました。

「多くのMOOCsでは同じ講義を受講しているメンバーが交流できるコミュニティ機能があり、講義内容についてディスカッションしたり、プログラミングのコードをレビューしたり、濃密なやり取りが行われています。今後はアスカアカデミーでも、このような取り組みを強化していきたいと思っています」

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たとえば、Courseraを見てみると、「英語学習」や「AI」といった講義科目ごと、または「学習パートナーがほしい人」向けのコミュニティなどがあり、活発にメッセージのやり取りが見られました。英語でのコミュニケーションなのでグッとハードルは上がりますが、英語学習とあわせて活用すると相乗効果が得られそうですね。

「学習総合サイト『Studyplus』などを使って、勉強した時間や学習の進捗をグラフでわかりやすく“見える化”するのもオススメです。講義終了後に得られる証明証を集めるのも良いですね。アスカアカデミーでも講座終了者に、スマートフォンなどで見られるデジタルの“オープンバッジ”の発行を始める予定で、これは世界標準の学習証明にもなります」

このように努力を見える化して振り返るのも、学習継続を後押ししてくれそうです。『Studyplus』では学習計画を立てる機能もあり、計画どおりに進めることができれば、よりモチベーションが保ちやすくなるのではないでしょうか。

学習開始当初は熱量が高く思いきった学習計画を立てたくなるものですが、少し余白を作った実現可能な目標を設定しておくと、続けやすいかもしれません。また、アプリの入力は面倒という人は、SNSでその日勉強したことをつぶやくのもアリ。タイムラインに記録が溜まることで継続率アップが期待できるようです。

2020年、一気に利用者が広がったオンライン学習。モンゴルではMITが配信する「電子回路」の講義で満点を取った学生がMITに学費免除で進学できた事例もあったとか。これから大学受験や就職、転職などを控える中高生にとって、MOOCsは味方に付けておきたい学習手段のひとつと言えそうです。

(企画・取材・執筆:小林香織  編集:鬼頭佳代/ノオト)

<専門家のプロフィール>
NPO法人 Asuka Academy

2014年4月設立。世界の優れた学習コンテンツの国内利活用を促進するオンラインプラットフォームとして、海外トップ大学のオープン講座や学習コンテンツをネットで無償提供。日本語で無料で学べ、開講コース数はのべ130コース近くにのぼる。
MIT OCWとオフィシャルパートナー契約締結済み。

https://www.asuka-academy.com/

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